「情報」の作問は可能か、文系数学の出題範囲は高卒生に配慮が必要
各大学が個別に実施する個別試験の教科・科目は、各大学の作問能力による制約から、「公共」「地理総合」などを出題しない大学が多くなることが予想されます。「情報」もほぼ同じ状況にあると言えるのではないでしょうか。なお、ここで言う作問能力とは、単に問題を作るだけではなく、出題内容への質問に的確に答えることができ、さらに受験生の能力を的確に選別できる問題の作成という意味までも含んでいます。
大学によっては「公共」や「地理総合」、「歴史総合」は必修科目なので、入試で出題する必要があるのではないかと考える場合があるかも知れません。しかし、高校の必修科目であることと生徒が受験科目として選択することは全く別物です。現在でも地歴の受験科目は日本史を選ぶ生徒が大半ですが、必修科目となっているのは世界史です。
その他では、個別試験の文系数学に「数学C」を課すかどうかも課題となると思われます。現行課程の文系数学は科目としては「数学ⅠA・数学ⅡB」となっており、数学Bは(数列・ベクトル)が出題範囲です。そのため、現行課程と同じ傾向の出題をする場合は、「数学C」を課して(ベクトル)を出題範囲とする必要があります。これは高卒生への経過措置とも関係しています。高卒生に配慮しつつ、現役生にも対応できる仕組みとしては選択問題を用意することですが、問題難度に差が出た場合、その調整方法も前もって決めておく必要があります。
現実的には経過措置として新旧両課程に配慮し、文系数学は科目を「数学ⅠA・数学ⅡB・数学C」としてカッコ書きで(数学Bは数列、数学Cはベクトルを出題範囲とする)ということになるのでしょう。人数が減ったとは言え、まだ数万人の単位で優秀な高卒生は存在しています。配慮は必須です。
Originally posted on 2021-07-06 @ 12:00
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